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インド産業視察研修会

2011年12月11日

 11月6日(日)~11 日(金)の6日間の日程で、浜松商工会議所会員企業22名(事務局含む)にて、インドデリーを中心に、浜松地域からインドに進出しているスズキ(株)、(株)エフ・シー・シー、(株)ソミック石川、ASTI(株)、(株)ベルソニカの5社の日系企業や
JETRO また、現地の不動産事情等について視察しましたので、その概要をレポートします。
■ 近年急増する日系企業
 巨大市場へと成長が期待されることから、毎年インドに進出する日系企業は100社づつ増加している。2010年10月時点での進出日系企業数は725社(拠点数は延べ1,263 ヶ所)で、チェンナイ近郊が近年急増している。
 日本企業の動向としては、既に進出している自動車メーカーの生産規模拡大と新規メーカーの進出に伴う部品企業の追従投資の加速や、工作機械、自動化機器、設備等の周辺産業の投資も広がっている。また、日系製造業の集積により、それに伴うサービス業、金融関係、通信関連の進出も活発になっている。
 8月1日よりインドとの経済連携協定が発効され進展していく状況の中、今後は東アジアのサプライチェーンにインドを組み込む動きも出てくる。

〈企業視察を通して〉■ 部品は現地調達・人材確保の問題も
 まずはどの企業も、部品等についてはほぼ現地にて調達しているとのことで、この状況は今後も変わることはない様子である。
日系企業にとってローカル企業との競争は益々熾烈になっていく中で、ローカル企業には出来ない高い加工技術等で対抗している。
 人材の問題では、高い離職率が挙げられる。企業によって定着率の違いはあるが1、2年ぐらいで離職するのが平均のようである。当然のことながら従業員のほとんどが中途採用となる。ワーカーをはじめ、優秀な管理者クラスの人材ほど引き抜きも含め転職が多くなるため人材確保が企業にとっては大きな課題となっている。また、カースト制度の影響については、基本的には業務上支障をきたす程のものは無い様子で、常に従業員とのコミュニケーションをとり、意思の疎通を図っている。従業員の定着のため、ワーカーのモチベーションを維持する工夫として、改善提案を積極的に採用し、自分たちの職場ということを意識させたり、優秀な人材確
保のため、過去に辞めた従業員の再雇用も認めるなどしている。
 従業員の入れ替わりが激しいため、人のスキルに依存しない工程づくりや、省人化・自動化にも積極的に取り組んでいた。
自動車関連企業のワーカーの人件費は月額1万円ぐらいからが相場とのことであるが、賃金の上昇率は15%前後のため、労務コストの負担となっている。インフラ関連では、不安定な電力供給のため、製品、部品の安定的な生産において工場での自家発電が必
須となっており負担が増加している。また、脆弱な物流インフラのため部品等の正確な輸送時間が読めず、メーカーへの納期の遵守から在庫の増加を招くケースもある。
 若干の生産の鈍化はあるものの、需要はあるため、設備等の投資サイクルが他国と比較して圧倒的に早く、回収が追い付かない状況も出ている。
 インフレに伴うガソリン価格(政府の価格統制がなくなり価格は自由化)の高騰や軽油に優遇税制があるため、ディーゼル車の販売が大幅に伸びており、メーカーによっては全体の販売台数の80% を占める。ディーゼル仕様車のラインナップが豊富なメーカーが有利な状況となっている。
 車両を購入する場合、多くの人がローンを組む状況の中、かつては求められなかった頭金(購入代金の20%程度)が必要となったため販売に影響を及ぼしている。
■ 土地価格が急騰
 所得水準の向上に伴って中間所得者層が急速に拡大しており、マンション、一戸建て共に非常に人気があり、入居にあたっては100倍の競争率の物件もある。価格に関しては、デリー等の都市近郊の新築3LDKのマンションで3,000万円からが相場のようである。
 ただ、建設期間が一戸建てで1年、大型のマンションで3年と長い。賃貸マンションはあまりないようでほとんどが購入物件とのことである。
 民間開発による郊外の大型分譲地の一戸建てヴィラは、初回募集分が土地代込で1棟約1,000万円、外国人の投資目的での購入も可能である。
 公共関連機関が開発した分譲土地の一例では、面積が70 ~500 ㎡で、土地価格は32,000円/ ㎡とのこと。土地の価格はこのところ急騰している。
■ 終わりに
 現在の円高の状況やほとんどの企業が部品を現地調達していたことからも、今後輸出型産業は益々インドを含めた海外への進出が加速していくものと思われます。
 2025年には少子高齢化が進む中国を抜き世界一の人口となり、インドのその豊富な労働力と消費力には大いに期待が持てるところです。今回の視察先は浜松地域の企業ということもあり、現地での企業運営やその苦労が参加者にとってより身近に感じ、インドの実情を把握する上で大変有意義な視察会となりました。
 最後に懇切丁寧なご対応を頂いた視察先の企業の皆様に感謝申しあげます。
(文・写真 地域連携課 課長 内山勝徳)

■ インドの概況
人 口:12億1,019万人  
面 積:329万平方km(日本の約9倍)
言 語:ヒンディー(公用)、英語(準公用)
    他21言語
宗 教:ヒンドゥ、イスラム、キリスト、シーク、
    仏教、ジャイナ
統 治:連邦制(28 の州、6の連邦直轄地)
政 治:議会制民主主義(上下院)
首 都:ニューデリー
邦 人:約4,000人
   (半数がデリー周辺、次がチェンナイ)
時 差:-3.5時間
GDP:約1兆ドル
一人当たりGDP:  1,264 ドル
G D P 成長率: 8.5%
外貨準備高: 2,753億ドル
貿易収支:-1,305億ドル
貿易外収支:  862億ドル
経常収支:- 443億ドル


写真上から
1.高速道路の料金所の渋滞
2.現地法人マルチ・スズキにて説明を受ける視察団
3.JETRO ニューデリー事務所にて説明を受ける

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