5月号特集)女性会 未来(あす)への一歩
つながりの中で経営者としての視点を磨く
関わるほど、自分らしさが見えてくる
多様な価値観や働き方が広がる中、企業や組織を支える女性たちの学びと交流の場が注目されている。
業種の垣根を越え、対話を重ね、新たな視点や気づきを得ていく。その活動や魅力について、会を担う二人に聞いた。
ー女性会には、どのような方が参加されていますか。
小野 個人で事業をしている方だけでなく、私のように会社の中で経営を支える立場の方もいます。入会のタイミングとしては、子育てにめどが立ち、自分の活動に時間を使えるようになった30代後半から40代の方が多い印象です。ライフステージに合わせて、無理のない形で関わっている 方が多いですね。
太田 経営のトップが集まる場というより、「人を育てる立場にある人たち」が集まる場だと感じています。会社で組織をまとめる立場の方が多いですが、この会では肩書きを離れて関われるのが(会社との)大きな違いですね。業種については偏りなく、建設業や製菓業、サービス業、クリエイティブ職など、幅広い分野の方が参加しています。
ーこれまで大切にしてきた価値観や考え方とは?
小野 設立当初から掲げている「自ら輝き 自ら磨く! ~そして未来の私たちのために~」という活動理念は、今も変 わらず女性会の根幹にあります。今年度のスローガンにも、その考えが表れています。積み重ねてきたものを土台に、今の時代にどう生かしていくか。その両方を大切にしているのが、女性会のあり方です。
太田 大切なのは「自分らしさ」を持つことです。受け身ではなく、自分の軸を持って関わることが重要だと思います。ただ、それは自分だけが前に出るということではなく、「共に生きる」という姿勢でもあります。自分を大切にしながら、周りと支え合っていく。そのバランスが大事ですね。
ー長年の活動の中で「女性会らしさ」を強く感じたエピソードがあれば教えてください。
太田 印象に残っているのは、当時会長として関わらせていただいた、女性会設立15周年の記念行事です。親会からは「知恵を絞り、工夫を凝らし、生きたお金の使い方をしてほしい」という教えを頂いていました。そこで外部に頼るのではなく、自分たちの手で記念行事をつくり上げることに。15周年にちなんで「十五夜」をテーマにし、ステージ装飾やテーブルに置いたウサギの折り紙も一つ一つ手作り。お花も自分たちで用意し、みんなで形にしていく力を感じました。
ー活動を通じて、どのような学びが得られましたか。
小野 一番大きいのは「伝える力」が身に付いたことです。人前で話す機会が増え、自分の考えを整理し、要点を絞って伝えるようになりました。女性会ではディスカッションを通じて意見を交わす機会があります。その経験は自分の会社でも生きています。
太田 女性会に入ってから主体性を意識するようになりました。最初は受け身でしたが、自分を出していかないと、この場にはいられないと感じたんです。そこから少しずつ、考えを言葉にするようになりました。また、会社では指示を出す立場ですが、女性会では普段とは違う立ち位置で関わることで「従業員はこう感じていたのかもしれない」といった気づきも得られました。立場を離れて物事を見る経験が、自分の経営を見直すきっかけにもなっています。
▲静岡県西部しんきん地域振興財団の助成金を活用し、地域活性化や会員間の交流事業を開催。昨年9月には、来館者数でV字回復を遂げた愛知県蒲郡市の竹島水族館を視察し、小林龍二館長による講演会を行った。写真はその際に蒲郡クラシックホテルで開かれた、豊橋および豊川商工会議所女性会との交流会の様子
ー女性会ならではの魅力や強みは何だと考えますか。
小野 女性会は全員が経営に関わる立場にあります。だからこそ、悩みに対しても共感で終わらず、「ではどうするか」という前向きで建設的な話になるんですね。また、30 代のメンバーから設立当初を知る先輩方まで世代が幅広く、仕事だけでなく、子育てや介護、これからの人生についての相談もできます。「人生の先輩」から学べるのも、この会ならではだと思います。
太田 「知恵と工夫」で物事を形にしていく力が強みです。自ら企画を考え、司会や映像、音楽など、それぞれの力を持ち寄って一からつくり上げていく。その過程そのものに価値があると感じています。浜松の女性会は全国的に見ても若い世代が多く、とても元気な会です。その活気が新しいことに挑戦する力にもなっています。
ー今後の女性会をどのようにしていきたいでしょうか。
小野 商工会議所本体との連携をより深めていきたいと考えています。女性経営者の声を市政に反映していけるような関わり方を強めていきたいですね。例えば、浜松市が進めている若者のUターンや移住促進といったテーマについても、女性経営者の視点から伝えられることは多いと考えています。
ー女性会への参加を考えている方へメッセージを。
太田 ただ参加するだけでなく、自分らしさを出していくことで面白くなる場だと思います。「自分はどういう人間なのか」「どんな思いで仕事をしているのか」を言葉にすることで、関わり方も変わってきます。
ビジネスのきっかけを求めて入会される方も多いですが、大切なのは「何を得るか」ではなく、「仲間のために何が できるか」という姿勢です。自分らしく思いを語り、誰かのために動く。その積み重ねが信頼につながり、結果として仕事にもつながっていくのだと思います。
小野 自社の中だけにいると、どうしても見える世界が限られてしまいます。女性会にはさまざまな業種や立場の方が集まっているので、対話を通じて新しい視点に出合うことができます。そうした気づきは仕事にも生かされ、新しいつながりも生まれていきます。
また、忙しい時期こそ少し視点を変え、肩の力を抜ける場所として関わっていただくのも一つだと思います。無理なく関わりながら、世界を広げていける場として活用していただけたらうれしいですね。
2025・2026年度会長 小野豊美
株式会社ウサギヤ モンターニュ洋菓子店 店長
[菓子製造小売業]
「ケーキで人を幸せに」という思いを受け継ぎ、地域に根差した店づくりを続けてきた。浜松市内および磐田市に5店舗を構え、看板商品「はままつラスク」をはじめ、デコレーションケーキなどが人気。実は鉄道ファンで、趣味は鉄道旅行。
●浜松市中央区石原町
2016・2017年度会長 太田順子
株式会社丸富建綜 取締役
[建築請負業]
伝統工法「板倉造り」を主軸とした住宅を手掛ける。「夢と希望を形に現し 感動を与える人とあれ」という理念の下、自然と共存し、健康で快適に暮らせる住まいづくりに取り組む。趣味は歌と旅行。歌と踊りのボランティア活動「花かんざし」を主宰し、地域のお祭りや敬老会のステージで披露し盛り上げている。
●浜松市浜名区宮口