第26期正副会頭インタビュー/西村副会頭(1・2月合併号特集)
副会頭 西村 淳 (にしむらじゅん)
ヤマハ株式会社 執行役
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体験価値が新たな需要を生み、文化が才能を育てる
浜松のDNAを生かし
多様性と革新の力で次代へ挑戦
浜松は、世界に羽ばたく企業を数多く生み出してきた、日本有数のスタートアップの地です。この浜松の風土や文化的DNAを生かし、地域の企業が共に新しい価値を創造していくことが、今まさに求められています。
体験価値と文化を提供し 新たな需要を生み出す
変わり続ける顧客の嗜好を捉え、新たな需要を生み出すには、単なる物売りではなく、顧客に新しい体験や文化的価値を提供する視点が重要です。ヤマハでも音と音楽を通じた事業において、この点を常に意識しています。
例えば、2024年6月に開店した「ヤマハミュージック横浜みなとみらい」では、未経験・初心者の方を主な対象に、楽器に触れて、音を出して、感じるという体験を第一に提供しています。おかげさまで開店から100万人を超える方が来店してくださいました。楽器は人間の感性に訴える商品であり、実際に体験していただくことで、従来気づかなかった顧客の声を拾うこともできています。
また、高校軽音楽部の支援活動「K-ONB」では、部活動の地域移行が進む中、音楽文化を持続させるため、部室整備から楽器選定まで幅広くサポートしています。現在は過半数の県に連盟が設立され、文化部の全国大会が開催できる環境が整いつつあります。こうした文化を育てる活動が、長期的に新たな顧客との出会いを生み出していくと見込んでいます。
生成AIなど新技術への対応も避けては通れません。当社では昨年、AI活用の基本方針を発表し、「AIは人の可能性を広げるパートナーである」という考えのもと、音楽の創造にまつわる権利を尊重しながら事業開発へ活用を進めるとともに、日常業務における利活用を拡大しています。
皆さんも議事録の自動生成やデータ整理・分析など業務の効率化を進めながら、創造的な活動に充てる時間を増やすことにチャレンジしてみてください。
多様な人材と柔軟な発想で 地域全体の可能性を拡大する
人材確保については発想の転換が必要だと感じています。テレワークを組み合わせた柔軟な勤務形態を活用することで、大都市や各地方にいる優秀な人材とも協業できます。
また、浜松は中南米出身の方が多く暮らし、近年はインドから高度人材の誘致を進めるなど国際的なマインドが根付いた土地です。インターナショナルスクールの構想もあると聞いており、多様なタレントを柔軟に迎え入れる環境がさらに整えば、地域全体の可能性が広がります。
今後は老舗企業も既存の社内業務プロセスに縛られることなく、外部との連携や新しい才能との協業を通じて市場を開拓する姿勢が大切です。浜松市もスタートアップのサポートに注力していますので、そこから生まれる新しい価値観を共有し、共に浜松の産業を盛り上げていきましょう。(談)