第26期正副会頭インタビュー/渥美副会頭(1・2月合併号特集)
副会頭 渥美 保広 (あつみやすひろ)
とぴあ浜松農業協同組合 経営管理委員会 会長
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食料安全保障と環境保全、地域の未来を担う責務
持続可能な農業を次世代へ
今、日本の農業は転換点に立っています。深刻な後継者不足と気候変動への対応が急務となる中、持続可能な農業を次世代へつなぐためには、農業の本質的価値を再認識し、産業の垣根を越えた連携が不可欠です。
農業が果たす多面的機能と地域社会への貢献
現在の農業情勢は、消費者の皆さまにも、日本の食料生産の在り方について大きな課題を投げかけていると思います。農業を振興するということは、新鮮で安全・安心な食料を供給するだけにとどまらず、緑豊かな地域を守ることで、良好な景観形成を維持することにもつながっていきます。
また、農地は、水害や土砂崩れなどの災害時にも、地域を守る働きを担っています。さらには、食文化を継承し、地域の雇用を生み、地場産業を支えることにつながります。農業は、地域の皆さまの暮らしを豊かにすることにほかならないということです。
浜松は全国でも有数の農業地帯であり、とぴあ浜松農協の管内では野菜、花き、果樹、畜産を含めて150以上の多様な農畜産物が生産されています。農業を維持・発展させるために、農協が生産指導から販売までの過程において全ての生産者を支えることにより、農業者の所得向上につなげ、農業を魅力あるものにしていくことが我々の使命であると考えております。
スマート農業と新規就農支援で次世代の担い手を創出する
人手不足への対応として、AIやIoTを活用したスマート農業の導入は急務です。施設園芸では、ハウス内環境のデータ蓄積と分析により、経験に頼らない精密な栽培管理が可能になりつつあります。こうした技術革新により、少ない人手でも高品質な農畜産物生産を実現できる環境を整えていく必要があります。
農業従事者の高齢化に対応するため、新規就農者への支援は、今後力を入れていきたい分野です。一方で資材・建設コストの増加が顕著であり、屋根型ハウスを設置するのに5000万円かかるなど、農業への新規参入に障壁となっているのが現状です。
新規就農者の確保に向けては、「農業スタートアップ支援パッケージ(仮称)」の整備を進めています。金融、保障、資材、不動産、栽培技術指導まで、JAとぴあ浜松の総合力を結集したワンストップサービスにより、移住者も含めた就農希望者を全面的にサポートします。また、その情報を発信することで新たな人材を呼び込む好循環を生み出せるはずです。
AIやIoTを活用したスマート農業による生産性の向上と、スタートアップ支援による新規就農者の確保。この二つの取り組みを軸に、少ない人手でも高品質な生産を維持し、次世代へ確実に継承できる農業を実現していきます。そして、食料安全保障と環境保全を両立する持続可能な農業モデルを確立し、次世代へと確実に継承していきます。(談)