第26期正副会頭インタビュー/石川副会頭(1・2月合併号特集)
副会頭 石川 雅洋 (いしかわまさひろ)
株式会社ソミック石川 会長
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EVシフトの時代を見据え、次の一歩を踏み出す
電動モビリティがもたらす産業変革
浜松から始まる次世代モータータウンへの挑戦
「100年に1度の大変革期」と呼ばれる技術革新に自動車産業は直面しています。中国では新車販売の約40%、北欧では約60~70%を電気自動車(EV)が占めるといわれています。日本のEV率は2%未満と低いものの、将来的には電動化へのシフトが加速していくことは間違いないでしょう。
エンジンがモーターに置き換わることで、トランスミッションといった主要部品は不要になるか、一体化した小型ユニットへと変化していくはずです。
影響が少ないと思われる足回り部品メーカーも無関係ではありません。EVはリチウムイオンバッテリーの搭載により車重が増すため、部品にはこれまで以上の軽量化と高い耐久性が求められます。全てのサプライヤーが変化の影響を受け、現状維持では通用しない時代を迎えています。
変革期を生き抜く2つの戦略と地域連携の力
この変革期は2つの戦略のいずれか、あるいはその両方に取り組むチャンスとも言えます。
1つは、他社が新規分野へ移行する中で、あえて既存の領域に特化し、技術力を極限にまで高める戦略です。競合が別の市場へ移ることで、残存する需要を独占できます。
もう1つは、新規事業・新領域への転換です。EVだけでなく、自動運転やパーソナルビークルなど、次世代モビリティに関連する新しいビジネスに挑む戦略です。
グローバル競争の中でも、浜松のものづくり企業は確かな存在感を発揮しています。「効率的な生産」「品質管理」「ものづくりへのこだわり」は、海外の企業が容易にまねできない強みです。
新規事業にチャレンジする際、単独の企業で全ての技術を賄うことはできません。さまざまな技術やサービスを持つ企業同士が手を取り合うことで、新しいモノやコトが生まれます。新たな挑戦には失敗がつきものですが、従来のヒエラルキー構造から脱却し、企業間で「横の連携」を築いていくことが何より重要です。
モータータウン・浜松が描く新たなモビリティ社会
浜松市は、自動車を交通手段として利用する割合が72%と非常に高く、全国平均46%を大きく上回る「モータータウン」です。この強みを生かし、例えば、中心市街地にパーソナルビークルや自動運転車を導入した特区を設けるのも一案でしょう。
浜松には、スズキやヤマハをはじめとするモビリティ関連企業が数多くあり、豊富な技術と製品を持っています。これらの既存技術を活用することで、新たな部品メーカーや関連サービス業が参入する機会が生まれるはずです。
こうした取り組みは、自動車産業だけにとどまらず、カーボンニュートラルやウェルビーイングといった社会課題の解決にもつながります。企業と行政が連携しながら新しい試みを重ねていくことで、「浜松モデル」として新たな都市の魅力をつくり出せるのではないかと感じています。(談)