調査報告 会員事業所の人材育成
調査報告:浜松商工会議所 会員事業所の人材育成
社員教育は進んでいるか? 企業の取り組みとホンネ
■ OJTから外部研修まで、多様化する教育の現場
現在、多くの企業が人材不足という課題に直面しており、新しい人材の採用が難しい中で、いかに今いる社員を育てるかが重要な経営課題となっています。
本アンケートでは、当商工会議所の会員事業所を対象に、企業の人材確保の現状やスキルアップの取り組み、育成における課題について調査しました。
企業が抱える課題や取り組みの実態を共有し、社員教育のヒントとなる情報をお届けします。
《調査概要》
・調査期間:2025年5月14日(水)~ 23日(金)
・調査対象:メルマガ「デジタルNEWing」配信先
・有効回答数:195人(189社)
(1)人材確保の現状
「一部で不足している」が61%と最も多く、「十分に確保できている」が26%、「多くの業種で不足している」が13%だった。
(2)スキルアップの取り組み有無・方向性
約79%が現在の仕事に関連するスキル向上(ステップアップ)に取り組んでおり、約24%の企業は新しい業種や業務領域へのスキル習得(リスキリング)に取り組んでいる。
一方で、「取り組んでいないが興味がある」が13%、「必要性を感じていない」も3%あった。
(3)スキルアップの方法(複数選択可)
OJTが最も多く、外部のセミナー、研修が次いで2位、3位となった。
「自社独自の社内研修」の運用は57が実施しており、そのうちの7割(42)が21人以上の比較的大きな事業所である。
(4)「取り組んでいる」分野・スキルと「希望する研修」の分野・スキル(複数選択可)
取り組んでいる分野・スキル、希望する研修の分野・スキルともに、上位3つは「コミュニケーションスキル」「階層別教育」「マネジメントスキル」であった。
AI知識やデジタルマーケティングは希望している事業所が多い。
「その他」は業種に関係する専門知識や資格に関するものが多かった。
(5)スキルアップの課題(複数選択可)
第1位は指導する人材の不足、次いで、人材育成を行う時間がないこと。
3位は育成した人材が辞めてしまうことであった。
(6)回答者の声
■企業が課題としていること
・過去に作成した研修計画が形骸化しており、計画通りに実施されていない。
・新入社員の教育プラン作成に苦戦している。
・階層別教育を重点的に実施中だが、ついてこられない社員のフォローが必要。
・教える側の人員不足や受講者の意識のバラつきが課題。
・若手社員の自己啓発を促進する仕組みが必要。
・課題を見つけ、解決できる人材の育成が必要。
・ITなど高度な専門性が必要な分野では、外部研修を活用し社内講師の育成を進めているが、時間がかかる。
・独自スキルの研修やマニュアル作成が課題であり、AIの活用による効率化を検討している。
・スキルアップの必要性に対する会社・従業員の理解、取り組みの検討・選定、予算確保が課題。
・教育にかける費用と時間の確保が課題。
・小規模企業では、育成や採用に関する負担が経営者に集中している。
■人材育成で工夫していること
・新入社員研修期間を2カ月から4カ月に延長し、資格取得支援やスキルマップを活用した教育を実施。
・各個人のスキルレベルに合った座学・実施教育を実施。
・理解するまで同行し、研修を重ねる。
・スキルアップを給与に反映する仕組みを導入。
・定期的に試験を実施し、社員のスキル向上を可視化する取り組みを行っている。
・部門内の改善効率をテーマにPDCAサイクルを活用した教育を推進。
・デジタル・DX関連ではコンサルタントと契約し、月1回の勉強会を全社員向けに開催。
・補助金を活用し、外部研修やeラーニングを導入。
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このたびはアンケートにご協力いただき、誠にありがとうございました。皆さまから頂いたご意見を今後のサービス向上に生かしてまいります。