お知らせ

お知らせ

特集3)YummyDeco

2025年06月01日

伝統的な和菓子を親しみやすい形へとアレンジ

「Kawaii練りきり」をきっかけに
コミュニケーションの輪を広げる

茶席などもてなしの場で供される和菓子、練り切り。繊細で美しい造形が印象的な、白あんがベースの上生菓子だ。
そんな練り切りのワークショップを開き、国内外に向けて積極的に発信している女性が、浜松にいる。
この体験の魅力は、作る人それぞれが独創性を発揮しながら、楽しさを分かち合える点にある。

 

ーーーーー

地域の優れた人材や商品をPRするコンテスト「にっぽんの宝物 JAPAN 大会2024-2025」にて、ヤミーデコ・たなかちさと氏が体験価値・創造部門グランプリに輝いた。同氏が提案したのは、季節をモチーフに形作る伝統的な和菓子「練り切り」のワークショップ。しかし、ただ作り方を教えるだけではない。仲間と会話しながら創造する楽しさを体験できるように工夫を凝らした内容と、多彩な味のあんこが高く評価されたのだ。

 

練りきりの敷居を取っ払う

たなか氏が練り切りに出会ったのは、今から11年前。2年間のアメリカでの生活を終えて帰国した同氏は、アメリカで知ったアイシングクッキーの教室を開くために講師資格を取得。そして、同じように資格一覧にラインアップされていた練り切りを見つけ、興味を引かれた。

子どもの頃から和菓子が好きだったのもあるが、アメリカでの“ある後悔”が心に残っていたからだ。

「さまざまな国籍の友人ができ、彼らとの何気ない会話の中で自然とその国の文化を知ることができました。でも、私は彼らに日本について深く語れなかった。自分に知識があれば、もっとコミュニケーションを取れたはず。そう思うと残念な気持ちになりました」

一念発起したたなか氏は、講座だけでなく複数の和菓子職人から学びを受け、晴れて練り切り教室を開始。しかし、生徒の反応はいまひとつだったという。

「『インスタ映え』なんて言葉がはやり出した時期で、伝統的で奥ゆかしい色合いの練り切りは受けが良くありませんでした。また『あんこが好きではない』『作るハードルが高い』などの声も相次ぎ、どうしたらもっと楽しんでもらえるか頭を悩ませました。ようやく行きついた答えが『Kawaii練りきり』だったんです」

同氏オリジナルのKawaii練りきりは、ポップなデザインとカラフルな色みが持ち味だ。また、使用するあんこは、フルーツ味やチョコレート味など和菓子になじみがない人でもおいしく食べられるようにアレンジ。さらに、練り切りの基本は押さえながらも作り方を簡素化し、取り組みやすくした。

 

自由な創作が生み出す“交流”

今では、企業や地方自治体、そして海外からもワークショップの依頼が絶えないKawaii練りきり。日本の文化を気軽に味わえるのはもちろん、自身を、そして他者を理解し、認め合う体験としても大きな意義を見出されている。

「一応手本を作るのですが、参加者にはそれ通りにつくる必要はないと伝えます。正解・不正解にとらわれず、自由に表現する喜びを感じてほしいからです。実際、最初は戸惑っていた大人たちが、しばらくすると夢中であんこを練る姿が見られます」

そうして思うままに練り切りに向き合っているうちに隣の人の作り方が気になって声を掛けたり、完成した練り切りの感想を言い合ったりして、自然とコミュニケーションが生まれる。これこそがKawaii練りきりの醍醐味であり、たなか氏の狙うところだ。

同氏は、6月に大阪・関西万博で行われる「にっぽんの宝物 世界大会2025」に出場予定。Kawaii練りきりという日本ならではのコミュニケーションツールが、世界へどのように羽ばたいていくのか、注目しよう。

 

YummyDeco(ヤミーデコ)
たなかちさと 代表

元看護師。2014年にアイシングクッキー教室を開講。その後、練り切りを学び、講師の資格を取得。2016年に練り切りの教室をスタートさせる。「Kawaii練りきり」を考案し、国内外でワークショップや展示会を開催。「にっぽんの宝物 JAPAN大会2024-2025」にて体験価値・創造部門グランプリを受賞。著書に『わたしをポジティブに変えたKawaii練りきり』など。
●浜松市中央区鍛冶町
HP:https://yummy-deco.com/

一覧に戻る
アクセス
入会案内
貸会議室申込
来所予約
お問合せ