お知らせ

お知らせ

特集2)株式会社JACKカンパニー

2025年06月01日

地元への誇りをブランディングに反映させる

浜松の郷土料理を自社開発
食を媒体に遠州の文化と心意気を共有

遠方から訪れた友人・知人を連れて行きたい店として名前が挙がることが多い居酒屋「濱松たんと」。
このイメージを確立できたのは、15年前に店の方向性を見直し業態変更をして以来、浜松を味わい尽くしてもらうための空間と体験を、一貫して来店客に提供し続けてきたからだ。

 

ーーーーー

「遠州人が自慢できる店づくり」をモットーに掲げる濱松たんとは、料理や接客、店内BGM、外装・内装など、店のあらゆる要素に徹底して“浜松らしさ”を盛り込み、ローカル店ならではの魅力を放つ人気居酒屋だ。地元民はもちろん出張や観光で訪れた人からも支持される浜松のグルメスポットといえる。

 

郷土料理を独自に開発

店の指揮を執るのは、株式会社JACKカンパニー代表取締役 山田拓司氏。もともとは青果市場に勤めていたが、ステーキハウスを営んでいた父の影響を受け、自身も飲食業界の道へと足を踏み入れる。2002年には「鉄板焼きダイニング たんと」をオープンし、浜松産の野菜や魚を使った料理を売りに徐々に顧客を増やしていった。

しかし、道半ばでリーマンショックのあおりを受け、経営不振に陥る。立て直しを図るため、同氏は改めてマーケティングやブランディングに力を入れると同時に、大都市圏の人気飲食店をリサーチして回った。その中で、現在の濱松たんとにつながる大きな気付きを得ることとなる。

「浜松には特産物を使った料理はあっても、名古屋でいえば手羽先や味噌カツのような、昔から地元で愛されている名物郷土料理があまり思い当たらなかったんです。だったら僕が『遠州料理』を創り出して浜松の文化として定着させ、たんとの地域ブランドとしての価値を高めていこうと考えました」

そうして、試行錯誤の末に開発したオリジナルメニューに、ご当地グルメとして注目が集まり始めていた「浜松餃子」を加えた「遠州料理」の数々を引っ提げ、2010年に濱松たんととして再スタートを果たす。

同氏の狙いは当たり、豚肉を分厚い鉄板で一気に焼き上げる「ごろ焼き」や、秘伝の味噌だれを絡めた「濱松ホルモン」など、“ここでしか出会えない味”は客が同店を選ぶ理由となっている。

 

「やらまいか」スピリットを仲間と共に分かち合う

“遠州のうまいもん”を通して、浜松の誇るべき文化をもっと発信したい――。店の改革を進めるうちに、もともと持っていた「地元を盛り上げたい」という気持ちをより一層大きくしていった山田氏は、さらなる一手を打つ。それは、遠州人のチャレンジ精神を表す言葉を用いた、宴の場ならではの体験設計だった。

「当店には、『やらまいか!』『おいしょお!』という掛け合いをしてから酒を酌み交わす“出世の盃”というものがあります。最初は年に4回開催している『出世祭り』の際に行っていたのですが、『団結を呼びかける言葉なら毎日使ったっていいじゃないか』と思い至り、乾杯の音頭として取り入れることに。今では年間20万人超のお客さまに体験していただいている名物儀式です」

“出世の盃”の効果は、単に一体感を醸成するだけでない。地元の人が県外から訪れた親戚や友人、会社の同僚に浜松の魅力を伝えたり、祝い事や歓送迎の場で互いの幸せや活躍を願ったりするきっかけとしても活用されていて、浜松の文化から端を発した取り組みは新たな価値を見出され始めている。

山田氏は自社の事業を「地域活性化エンターテインメント業」と呼ぶ。地場の食事や酒だけでなく、空気感までもプロデュースしてきた同社が、次は何を仕掛けてくるのか、今後も目が離せない。

 

株式会社JACKカンパニー
山田拓司 代表取締役

2002年「鉄板焼きダイニングたんと」を開店。2006年に株式会社JACKカンパニーを設立。2010年、業態を変更して居酒屋「濱松たんと」をオープン。現在、浜松駅周辺に6店舗、ハワイ(アメリカ)に1店舗を構える。また、うなぎ料理店、餃子の製造卸、地ビールの製造販売など新たな事業にも積極的に取り組む。浜松の若手起業家の育成や在日外国人との交流など地域活性化の活動が評価され、2024年「地方創生SDGsコンテスト」優秀賞を受賞。
●浜松市中央区曳馬
HP:https://www.jackcompany.co.jp/

 

一覧に戻る
アクセス
入会案内
貸会議室申込
来所予約
お問合せ