特集1)株式会社 はなか
新たなビジネスモデルで子どもたちの夢を形に
“お姫さまへの変身体験”で 思い出に残る休日をプロデュース
今、ファミリー層から絶大な人気を誇る「おひめさまごっこプロジェクト」をご存知だろうか? 参加家族にとっては最高の休日のお出かけ先になり、主催企業にとっては、にぎわい創出、 販売促進、マーケティングに活用できる、笑顔あふれる催し物なのだ。
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お姫さまになりたい――。 女の子が一度は思い描く そんな夢をかなえるサービスがあ る。株式会社はなかが企画・運営 を行う「おひめさまごっこプロジ ェクト」だ。これは2~13歳を 対象にドレスを貸し出し、約2時 間お姫さまになりきって、会場内 で家族と自由に過ごしてもらう体験型イベント。
ショッピング、写真撮影、食事全てOKで、万が一ドレスを汚し たり破いたりしても弁償不要なので、親も子ものびのびと過ごすこ とができる。ショッピングモール や住宅展示場、カーディーラー主催の商談会、地域の催し物などさまざまな場面で行われていて、予約枠を開放すればすぐに埋まり、 イベント当日には大行列ができるほどの人気ぶりだ。
「親だけでなく、孫のかわいら しい姿を見たいおじいちゃん、お ばあちゃんと参加する子も多いん ですよ」と、同社代表の宮武弓佳氏は笑顔で話す。
娘との日々が生んだ新発想
写真館とも貸衣装屋とも異なる、 この新たな子ども向け事業はどの ように生まれたのだろうか。原点 には、宮武氏が娘の“プリンセス に憧れる気持ち”に応えるために ドレスを手作りした経験にあった。
「手製のドレスを着た娘たちが楽しそうに祖父母と出かけたり、友達とごっこ遊びをしたりしてい る姿を見て、私もうれしくなりドレスの数を増やしていきました。でも、娘が成長した後、それらの使い道に悩むことに。そこで試しに地元のマルシェで子どもたちに着てもらう機会をつくってみたんです。すると、あの頃のわが子と同じように目を輝かせながら遊んでくれ、ご両親も満足そうにしている様子を見て、もっとたくさんの家族とこの喜びを共有したいと思うようになりました」
より広く届けるための仕組み
そうして2014年、「おひめさまごっこプロジェクト」は、自身で制作した子ども向けアクセサリーを買ってくれた人に、購入特典としてドレスを貸し出す形でスタートした。
しかし、それだと参加できる子どもの数が限られてしまうことにもどかしさを感じた宮武氏。取り組み方を見直す中でたどり着いたのが、“企業から受注して”イベントを企画・運営するビジネスモデルだった。
「おひめさまごっこプロジェクト」には、企業にとって開催費用を負担してでも得たい大きなメリ ットがある。第一に、自社の商業施設や催し物にファミリー層を集客できる点が挙げられる。また、客の滞在時間が延びることで会場内の店舗で買い物をする機会が増え、売り上げ向上を実現できる。
さらに、基本は参加費無料、またはワンコイン程度に設定しているが、参加条件に「クレジットカ ードの入会」「アプリの会員登録」 など企業が客に求めるアクションを盛り込むことで、より良い成果を見込める。実際に、ある商業施 設ではクレジットカード会員限定でイベントを実施したところ、参加者300人中50人が新規でクレジットカードに申し込んだという。
今や、効果を実感済みのリピー ター企業から、その噂を聞きつけ た新規企業まで県外からもオファ ーが相次ぐ。2025年3月現在、累計実施回数は158回を記録し、その数は日に日に増え続けている。
ドレスへ着替える過程に散りばめられた成長の機会
「おひめさまごっこプロジェク ト」の参加の流れはこうだ。
100~200着のドレスの中からお気に入りの1着を選んだら、子どもは一人で着替えブースに入り、 スタッフのサポートを受けながら衣装チェンジ。家族への披露を経て“お姫さま姿のまま”自由行動タイムへと移行する。
「ドレスを着て施設内を歩くだけと思うかもしれませんが、親と離れて一人でブースに入ったり、見ず知らずのスタッフとコミュニ ケーションを取ったりする経験は、 子どもにとって成長の大きなステ ップにもなるのです」
最後に「このビジネスモデルを全国、そして海外にも広げていきたい」と熱を込めて語った宮武氏。 “子どもたちの夢の請負人”の挑戦は、まだ始まったばかりだ。
株式会社 はなか
宮武弓佳 代表取締役社長
2014年に「おひめさまごっこプロジェクト」 の企画を開始。2017年に花雅Hanakaを開業し、 2019年に株式会社はなかとして法人化。「お ひめさまごっこプロジェクト」企画・運営の他、キッズドレスレンタルやプリンセスグッズの販売を行う。また、和裁の技術を生かしてつま み細工工房「和物花雅」にて制作体験教室を展 開。「おひめさまごっこプロジェクト」は、2023 年「静岡県ニュービジネス大賞」、2024年「グ ッドデザインしずおか」特別賞などビジネスコ ンテストでの受賞歴多数。
●浜松市中央区大瀬町
HP:https://hanaka.co.jp/