お知らせ

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がん患者の両立支援に関する相談について

2021年11月22日

 写真はイメージです(photoAC

■なぜ浜松商工会議所が「がん相談」なのか 

仕事と家庭の両立支援として出産・子育て・介護などへの関心が高まり、企業・団体において多様な取組がなされています。関心の高まりと共に、これらについては様々な支援策や相談窓口が設けられ、両立支援の取り組みは比較的スムーズに導入できるようになり、多くの会員企業様が、ライフイベントに対応し、従業員に安心して働ける環境を作っていただけるようになりました。

 

さて、両立支援でさらに必要なことは何でしょうか。浜松商工会議所健康・医療・福祉部会では従業員の雇用や企業の活力を揺るがしかねないライフイベントを探っていく中で「がん」に注目をしました。

「がん」は消化器系や肺、女性特有のがんなど日本人の半数がかかる病気と言われており、定年延長などによりベテラン従業員の雇用が進展する中、現役の従業員が罹患する可能性も高まっています。幸いなことに、近年の医療技術の進歩はめざましく、がんは不治の病ではなく、長く付き合う病に変化しています。でも従業員ががんになったら企業として一体どのように支援したらいいのか、どこに相談したらよいのかわからないのが実情でした。そこで浜松商工会議所と浜松市内4つの「がん診療連携拠点病院」が協力して、従業員の「がん」治療と仕事の両立について相談支援事業を2019年度から開始しています。

もしがんに罹患した従業員から相談を受けたら、1人で抱え込まず、周囲の専門家と連携して対応することがポイントです。人事労務担当者や、産業保健スタッフ(産業医、保健師、看護師)などと連携して対処していきましょう。また、治療と仕事の両立支援においては、医療機関とのネットワークが大きな役割を持ちます。しかし、一般的な企業と医療機関との接点は持ちづらいことも事実です。そこで浜松商工会議所健康・医療・福祉部会が懸け橋となって会員の皆様に、がん診療連携拠点病院の相談窓口の紹介を提供させていただく事業を開始いたしました。療養者本人、雇用主どちらでも相談が可能です。また相談には費用は掛かりません。

 

■がん相談支援センターで相談できること

●事業主さんはがんに罹患した従業員にどのように接したらよいか

●がんと仕事を両立させたいと思っている従業員への支援策

●各種の公的支援制度の活用方法

 ほか

 

※雇用主・従業員どちらでも相談できます。また相談費用はかかりません

※相談先病院に迷われる場合、幹事病院にご連絡いただけば、
内容により適切な相談窓口をご紹介させていただきます



■近年の勤労世代をとりまくがん治療の変化

厚生労働省の資料(2020115日都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会)によると

20歳~69歳までの人でその年に新たにがんに罹患した人は396,092人(2017年)。がんは高齢者の病気のイメージもありますが、がん患者の約3人に1人は20代から60代で罹患しています。

また、悪性新生物(=がん)の治療のために仕事を持ちながら通院している人は44.8万人。高機能な治療機器や新たな薬の開発など、がん治療は格段に進歩しており、通院治療をしながら仕事を両立することはこれからのスタンダードになると思います。(とはいえ早期発見早期治療が重要です。がん検診を積極的に受診しましょう)





がんと診断を受けて退職・廃業した人は就労者の19.8%を占めており、そのうち、初回治療開始までに退職・廃業した人は56.8%、再就職・復職の希望がある人が22.5%でした。上記の様に、治療と仕事の両立が主流になってきましたので、慌てて退職を選択しなくてもよかった方が多く含まれていると想定されま
す。




■がんに罹患した従業員への支援

厚生労働省が20162月に公表した「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」では、「両立支援プラン」および「職場復帰支援プラン」の策定を推奨しています。
同ガイドラインでは、「支援プランの作成に当たっては、産業医等や保健師、看護師等の産業保健スタッフ、主治医と連携するとともに、必要に応じて、主治医と連携している医療ソーシャルワーカー、看護師等や、地域の産業保健総合支援センター、保健所等の保健師、社会保険労務士、両立支援コーディネーター等の支援を受けることも考えられる」としており、様々な機関と連携することが、治療と仕事の両立を円滑におこなう一助となるとされています。

 

(参考)

厚生労働省「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」(令和3年3月改訂版)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000115267.html

 

がん治療が進歩したとはいえ、がんに罹患した従業員は通院や体調変化への対応など治療を続けながら仕事を継続できるか非常に不安を感じています。なにより職場に迷惑をかけるのではないかということを気にしている方も多いのです。

事業主、従業員のちょっとした配慮で共に安心して働き続けられる職場づくりが可能になります。「がん相談支援センター」をお気軽にご利用ください。


↓↓ 以下に相談例を紹介しています ↓↓

 

 

では、実際に従業員ががんになった場合どのような支援を受けられるのか、ご紹介します。

                                                                                                                                                 写真はイメージです(photoAC

 

ケース1:事業主が雇用の継続にあたり、主治医や従業員と相談が出来た一例

【事業主】
従業員Aさんが「がん」と診断されたが、会社は従業員数10名以下の小規模事業所です。Aさんは技術者なので働き続けてほしいが、欠勤が続くと他の従業員への負担が大きいこともあり、どこまで雇用を継続できるか悩んでいます。

 

【相談結果】
事業主側の相談を伺い「本人の病状を知り、どこまで雇用を継続できるか考えたい」という事業主の声が明らかになりました。そこで、事業主、従業員Aさん、主治医との間に相談員が入り、事業主とAさんに対し、改めて主治医から治療計画を説明しました。Aさんは決して働けない状況ではないことを理解してもらった上で、「雇用継続のために何ができるか」をみんなで話し合いました。その結果、Aさんの抗がん剤治療などのスケジュールに合わせ、無理のない勤務シフトを組むことによって、雇用の継続が可能になりました。

    

ケース2:「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」を活用した一例

【患者B
半年前にがんが見つかり入院して手術をしました。今は外来で抗がん剤治療を続けていますが、主治医から無理のない程度に働いても良いと言われ復職を考えています。しばらく会社を休んでいるので会社に無理のない程度っていうのが言いづらくて…。どうしたらよいでしょうか。

 

【相談結果】

主治医と会社の産業医、もしくは会社の労務担当者(総括安全衛生管理者・衛生管理者・安全衛生推進者など)と病状の情報交換をすることで、会社にBさんの状況を正しく理解してもらうことができるだろうこと、そのうえで復職の相談をおこなってみてはどうかと提案をおこないました。Bさんは、会社の衛生管理者が直属の上司のため相談しやすいとのことで、主治医と情報交換することを希望されました。後日、主治医からの意見書を持って会社に出向き相談したところ、会社もBさんの状況を把握し、半日勤務から始められるようになり、現在も通院しながら仕事に行くことができてきます。

 

ケース3:復職にあたり両立支援促進員が関わった一例

【患者C
現在休職中だが復職に向けてどのように会社と話をすすめたらよいのでしょうか?治療は今もおこなっていますが、強い副作用もなく体調も良好なので、フルタイムで復職を希望したいのですが・・・。

 

【相談結果】
今後の治療方針および就労上の注意点を主治医に確認し、会社との相談方法について、病院の相談員から紹介された両立支援促進員も一緒に相談をおこないました。両立支援促進員からは就業規則を踏まえた意見を聞くことができました。その後、会社側と話し合い、「治療により免疫機能が低下し感染症にかかりやすい時期は在宅勤務をしていく」「通勤が可能となった場合でも混雑する通勤時間をさけるため時差出勤をする」といった会社側の配慮を得られ、復職をすることができました。

 

※両立支援促進員とは・・・独立行政法人労働者健康安全機構の産業保健業務基準に基づき、「治療と職業生活の両立支援対策の普及促進のための個別訪問支援、仕事と治療の両立に関する労働者(患者)等と事業場との間の個別調整支援、治療と職業生活の両立支援に係る教育及び事例収集を実施する」職務を行う者。

 
■がん相談支援センターで相談できること

●事業主さんはがんに罹患した従業員にどのように接したらよいか

●がんと仕事を両立させたいと思っている従業員への支援策

●各種の公的支援制度の活用方法

ほか

 

※雇用主・従業員どちらでも相談できます。また相談費用はかかりません

※相談先病院に迷われる場合、幹事病院にご連絡いただけば、
内容により適切な相談窓口をご紹介させていただきます


一言で「がん」といっても、がんの種類や治療の内容、周囲の人間関係など、その従業員によって抱えている問題やその程度は異なります。がんという病気のイメージや先入観にとらわれず、個別に状況を把握し、できる支援をしていくことが重要になります。 

また、傷病手当金、高額療養費制度、医療費控除など各種の公的制度や、企業独自の支援制度などの本人が利用できる制度について勧めることも大切です。

これらのサポートを提供することに不安がある、支援の仕方がわからない、といった場合には、相談窓口にお電話ください。がん診療連携拠点病院内の「がん相談支援センター」では、相談者のお話を伺い、解決策について一緒に考え対応していきます。相談の内容によっては、医師や看護師のみならず、院外の関係機関と協力して支援をおこなっていきます。

 

 

地域がん診療連携拠点病院(ご相談の際には商工会議所のホームページを見たことをお伝えください)



浜松医科大附属病院 がん相談支援センター 
053-435-2146

 

浜松医療センター がん相談支援センター   053-451-2788

 

聖隷三方原病院 がん相談支援センター    053-439-9047

 

聖隷浜松病院 がん相談支援センター      053-474-2666 2021年度幹事病院)

 









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