| ホーム>オンラインNEWing>平成21年11月21日号 |
我が社の人材育成 |
(第一回) |
販売士取得をスタンダードに他社と差別化 得意先800社に製菓材料を商う平出章商店。県西部屈指の菓子材料・機材総合商社だ。昭和24年、創業者平出章さんが鴨江で創業、昭和31年には法人化。本年創業60年を画した期の5月に現在地に新本社屋を竣工させ移った。 現在の代表者は、2代目社長の平出茂樹さん。手堅い経営で、創業以来ずっと黒字決算を続けている。この厳しい状況下でも、端倪すべき業績を挙げ続けている秘密は何かと聞いた。「元々満州からの引き上げです。国が滅び、惨めに浜松に戻ってきましたから、国があることのありがたさを痛感しています。税金を納めて、国の発展に寄与したい。これが父親の日頃の存念でした。祝日の国旗掲揚と納税の二つはこの先も守り続けていきます」と、平出社長は淡々と語った。 「黒字を出し続ける底力は、結局社員の力にある」と、平出さんは断言する。そして、一つのエピソードを紹介してくれた。「私の口癖は“すべてに感謝”です。まぁ、モットーみたいなものです。新社屋が竣工したときに社員たちがお金を出し合って石碑というか、定礎みたいなものをプレゼントしてくれました。社屋の前にあるのがそれなんですが、そこに何と“すべてに感謝”と刻んであったのです。涙が出る程嬉しかったですね」と。 こんな経営陣と社員のいい関係が、ゆったりと事務所の雰囲気を包んでいた。その基本を形作ってきたものは何かと尋ねてみた。「あいさつ」と「掃除」だという答えが即座に返ってきた。「新社屋に移る前の17年間、男子トイレの掃除は社長と専務の専任事項だったんです。ボクの後任はできましたが、専務はまだやってますよ」といって笑った。 率先垂範は“掃除”だけではない。社員教育でいいものがあるとなれば、まず平出さんが受講し、資格取得にも挑むのだそうだ。平出さんがその一例として話してくれたのは“販売士”の資格取得の際の経験だった。「流通業にとっては唯一の資格制度ですからね。お得意様からの勧めでチャレンジしてみました。平成14年10月にいきなり2級に挑戦。勉強はきちんとしましたが、回答への時間配分を誤ってひやひやしましたが、幸い合格することができました」と苦笑いしながら話してくれた。 7月1日現在で2級販売士が4名、3級は20名を数える。全社員30名の会社である。未取得者の中に4名の新入社員がいるが、彼らも間もなく資格取得にチャレンジすることになっているそうだ。自己啓発への意欲喚起も怠らない。受験費用を会社が負担し、合格後には2級で5,000円、3級には2,000円の資格手当が支給されているのである。 「パティシエ(菓子職人)が、子どものなりたい職業になりました。隔世の感がありますね。意欲のあるお店がどんどん出てきます。関連する私たちも、いいかげんなことはできません。一生懸命勉強もしなければやっていけません。技術知識や業界のトレンドも重要ですが、“知恵のある人は、何かを持ってくる”んです。意欲が知恵として表れる。そんな社員が育ってくれるといいなと思っています」。 「4年前に入会した倫理法人会おすすめの小冊子『職場の教養』を朝礼に導入してから社員のモラルは一段と高まった実感があります」とも。
(取材・文/眞鍋澄夫) |